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“土よ!盛りあがれっ!!!!”
シンがそういうと、土はそのとおり、
パニッシュの周りを2mほどの土の壁が盛り上がったのだった。
まるで、シンが神であるかのように、シンの言葉に反応して。
「さっ。こっちへ。」
シンがパニッシュを抱きかかえ、土が崩れると同時に森の奥へ去って行った。
あなたは…もしかして…
パニッシュは意識が途切れる中、
おそらく今のことは一生忘れられないことが目の前で起こったことを
見て
聞いて、
そして感じていた。
自分を信じたくはなかった。
だが、彼は変換者の何物でもなかったことは、自分がよく知っていた。
どうして…?
そこで、パニッシュの記憶は途切れた。
ボトボトボトと土の塊が、雨とともに降るなか、輪に残っていたのはリチャード。
「もう一人はどこへ行きやがった…!!」
「さぁね、」
「おまえら、変換者だろ?」
「残念、俺はちが・・ん?
もしかして、あんたらの手の中にあるのは、
ルーベンスの瞳・
ロッカの指輪・
カタロニカのネックレス・
サスラー・
イルの雫・
アイロニカの花弁・
テルニカ
じゃないか?」
すらすらと、出てくる宝石の名前に誰もついてくるものはいなかった。
全員がなんの言葉を言っているのか、という状態。
「ほう、あんた宝石に詳しいのか。」
と思ったら、後ろから、ボスが語りかけた。
それなりに、お頭を務めてはいない。
「まぁね、これでもだてに10年もジェネディクト団にいたわけじゃないし。」
盗賊がざわめいた。
ジェネディト団だと?
そんなところにつけねらわれたら…
やべぇよ…
「黙ってろ!!!ジェネディクト団だからどうしたっ!?やればいいだけなんだよ!!」
チャキ
ボスに促され、短銃、剣、それぞれが武器を持つ。
しかし、リチャードはいたって何事もなさそうに、地面にしゃがみこんだ。
先ほど死んでしまった奴の下から何かを取りだし、それを盗賊一味に見せた。
「あんたらほんとに、宝石のほの字も知らないんだな。
俺は、あんたらみたいな宝石の価値もしらね−奴らが、
取引につかってるのが一番嫌いなんだよ…!!
知ってるか?
こいつの価値が一番高いって…ベーベルの生贄っていうんだよ!」
宝石を真上へ投げたその時にはもう既に、リチャードはそこにいなかった。
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