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「どうぞ」
パニッシュの化粧もほぼ終わり、2人は後片付けをし始めていた。
パニッシュは今日の化粧のできを、鏡で確認し、
そのまま視線を扉へと向けた。
そこには紫がかった黒髪は、当風とはいえない長さだったが、
後ろで結べるほどでもない長さをして、跪いている青年がいた。
「メジャー!!どうしたの?入ってきて!!」
パニッシュの口調は、召使の時とは違って、いきいきとしていた。
メジャーは跪いていた体を起こすと、
それを待っていた二人の召使は、ちらちらとメジャーをみながら、部屋を出て行った。
すらりと伸びた長身、そして、美しい髪。白色の正装は彼を輝かしている。
といっても、メジャーはそんなこと気にすることもなく、
パタン、と扉がしまる音がしてから、パニッシュの方へ歩き始めた。、
メジャー・サイザリアは23歳という若さで、国防騎士隊長を務めている。
召使の間で噂になるのも当然のことだった。
もちろん、異例の昇進だったが、
メジャーの家系はもともと国防騎士団を任せられていて、彼の父が戦死してしまったため、
彼が今仕事を引きついだのだ。
メジャーは王家の仕事柄の中では一番パニッシュと年齢が近く、よく2人で話すことも多かった。
ちなみに、今の仕事の前はパニッシュの武術、馬術の技術の教育係をしている。
しかし、現在、メジャーは忙しい身。
パニッシュの大人年の祝いも警備をしていて、話すことはできなかった。
だから、パニッシュがメジャーを見たとき、お祝いの言葉を言いに着たのかと思ったが、
メジャーの表情はどことなく曇っているようで、
どうもそうではないらしい。
隊長の印を示す、3本線に三つの星のせいで、
パニッシュはメジャーが別人のように見えた。
メジャーが立ち止まった。
「実は…アルセルナの結果で…国が…変換者の手で滅亡することがわかりました」