ガタン

 

 

 

椅子から立ちあがり、メジャーのもとにかけていく。

 

「嘘でしょ!?

 

 

嘘嘘!!

 

アルセロナの結果なんて、どうだっていいじゃない!!

 

 

神でもないくせに、神の言葉を聞いたなんて、どうして信じるの?」

 

 

 

 

「…」

 

 

 

いつもパニッシュの見方をしてくれるメジャーだったが、

 

 

メジャーは何も答えなかった。

 

 

「あなたたちもよ!」

 

 

 

突然パニッシュに言葉をなげかけられた、召使は目を横へそむけた。

 

 

 

アルセロナの結果、そしてガベル・ローランの決定。

何が変わることができるだろうか。

 

 

 

「お、お父様は…

 

 

お父様は

 

 

国を、国民を愛してくださっている。

 

 

変換者の言いなりになり、国を放棄するなんてありえないわ!!!

 

 

ルートゥス様は言葉を信じている、わが国を見放したりしない!!」

 

 

 

パニッシュは駆け出した。

 

 

 

 

行く先は父親の居場所。

 

 

 

 

 

しかし、行くことはできなかった。

 

 

 

 

 

「メジャー…離して…。」

 

メジャーは腕を掴んだまま黙って首を横に振った。

 

 

「あなただって、国を愛しているっていったじゃない!!

 

 

 

どうして、アルセロナに従うの?国を守ってよ!!」

 

 

「私にとって、ルートゥス様への忠義は忘れたことはありません。

しかし、ローラン家への忠義は私の神から与えられた使命です。

ローラン家が破滅への道を選ぶのであるならば、私はそれをお手伝いしましょう。」

 

 

そこには、

 

 

誰も…

 

 

 

誰も救いの手を差し伸べてくれるモノはだれもいなかった。

 

 

外で騒いでいる国民も、王家も。

 

 

アルセロナとはルートゥスの言葉をその国に使えている『予言者』が予言する儀式のようなもので、

主に裕福な国の安息日に行われる。

 

 

つまり、国民にとって『予言者』とは神の代弁者。そして、王は権力者。

その2人が一致すれば、誰も反抗するモノはいない。

 

こそこそと逃げるものがいれば、神を裏切った烙印が押され、この先生きていくにはとうてい難しい。

 

 

 

私は…私はアルセロナなんて信じない。

 

 

私はこの国を守る。

 

 

 

お父様が守らないというならば…。

 

 

リーンゴ−ン リーンゴーン

 

祈りの鐘は、死へ向かいつつある国民を目の前にして、

 

 

バカにして笑っているようだった。

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