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真夜中。
湿気の含んだ生暖かい風が馬小屋を通りぬけた。
唯一灯りを照らしているランプが左右へ揺れ、それがまたいっそう不気味さを増やしている。
そんなことで怖気づくようなパニッシュではない。
一頭ずつ、馬の顔を見ながら、歩く。
今夜の見張りの兵には、雨が降るので回数を減らしてよいと命令しておいた。
そして、その見張りの時間も把握してある。
いた。
「レヒフェルト」
真っ白な馬に光を当てると、馬は嫌がり、身をよじろうとし始めた。
音は一番困る。
「お願い、静かにして。
見つかったら部屋からだしてもらえなくなるわ。」
パニッシュは餌を馬、レヒフェルトに与え、つないでいた鎖を外した。
さぁ、きて。
パニッシュとレヒフェルトはゆっくりと馬小屋の外へ向かった。
すぐ外には乗馬コースがあり、その先の柵を越えれば国の外へと続いている。
うまくいきそうだわ。
パニッシュはフードを被り、
ネックレスにつけてある宝石ともなんともいえないものに触った。
お母様、私は今日はじめてお父様を…裏切ります。
しかし、決してこれは嫌いになったわけではありません。
ルートゥス様に誓います。
ただ、私は国を守りたいのです。
そのためには、こうするしかありません。
どうか、道中私が無事であることを願っていてください。
そして、パニッシュはレヒフェルトに乗ろうとした瞬間、パニッシュの顔に灯りが照らされた。
見つかった!!!