15
夜の雨はまるでそれがなかったかのように、朝は天気が良かった。
ポタッ
冷たい…。
無意識のうちに手が自分の頬を触っていた。
そして、パニッシュが葉の雫が、頬の腫れを冷やしている。
起きあがると、左腕に痛みが走った。
っつ。
左手をいためないように、右手に重心をかけながら、ゆっくりと体をおこす。
頬ははれて、左腕は痛い。
服は泥だらけ。
昨日あったことは夢ではなかった。
髪を触ってみると、泥だらけ出はあったが、確かにあのロングヘアはどこにもなく、
首のあたりでとぎれていた。
お母様…。
昨日、私は…
変換者に命を救われました。
急に視界がぼやけた。
それは、まばたきをするたびに、
朝の森がはっきりと見えては、またぼやけ。
しだいには、目を開くことができなくなった。
憎んでいた変換者に命を救われたこと
母親を目指していた髪がきられたこと
盗賊に襲われたこと
傷が痛いこと
国に帰りたいこと
命が助かったこと
何について、自分が涙しているのかわからなかった
ただ、涙は簡単にはとまりそうもなかった。