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「とりあえず、これで体を拭いて。

で、上着はこれ貸すから」

 

てきぱきと進めていくリチャード。

パニッシュの傷の手当てをしたのもリチャード。

シンはそれをぼーっと見ているだけであった。

 

 

「じゃ、俺ら水くんでくるから。」

 

シンは以前としてパニッシュのことを見ている。

パニッシュはどうしようか、困った表情でリチャードの方を見た。

 

 

「いてっ」

 

 

「なにやってるんだよ。おまえもいくんだよ」

「え、あ、あぁ」

 

リチャードに引っ張られるように、シンはその場から離れた。

 

 

「帰ってきたとき、本当にびっくりしたんだからな。」

「いや、俺が泣かせたわけじゃないし…。」

 

リチャードが帰ってくると、そこには泣きじゃくっているパニッシュと

なにをするわけでもないシンが隣に座っていた。

なにがどうなってこの状況になったのか、イマイチ理解できなかった。

しかし、食事をしたり、手当てをしたりしているあいだに、ようやくパニッシュは落ち着きを取り戻し、今に至るわけだ。

 

 

「まぁ、そのことはいいとして。」

「彼女をどうするか、だな。」

 

パニッシュは今まで彼らの前で一言もしゃべっていない。

 

 

シンはパニッシュの泣いている姿を思い出した。

ほっておけない気持ちもあったが、自分達は旅をするもの。

 

「ここで一人にするわけにはいかないが、次の町で誰かに保護してもらうんだな。」

「そうだな」

 

リチャードはただ一言そういい、そのあと2人は無言だった。

 

しばらく歩くと、木が茂っている場所とは違った、開けている場所にでた。

そこの真中には雨水がたまった鉄製の箱が二つ。

 

昨日二つおいておいて正解だったな。

 

シンが安心して箱のうちの一つをとろうとすると、リチャードが声をかけてきた。

 

「それにしても…」

 

「ん?」

 

「彼女はいったいなにものなんだろうな」

 

リチャードが箱を持ったのを確認すると、シンは歩きはじめた。

 

「俺もそれは思ってたよ。」

「普通に考えて、不自然すぎる女性があんな夜中に馬に乗ってどこへいく?」

 

馬と聞いて、シンは不思議に思った。

「彼女馬に乗っていたのか。馬はどうなったんだ?」

「だめだったよ。足を打たれていた。」

 

シンはこのことを彼女にいったらまた悲しむだろうな、と思った。

 

何も返事をしないシンに、一応供養しておいたがな、とリチャードが付け加えた。

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