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夕刻の時間は、再び市場が騒ぎ出す。
パニッシュはようやく、人づてで役所に辿りついた。
役所の男性に、この街はわかりにくいと愚痴を零すと
そんなに大きな街ではないんですが…と苦笑された。
「馬はどこでもらえますか?」
う、うま???この娘はなにをいっているんだ??もらうって…おいおい…
「私、これからネシリア王国へいきたいんです」
これからって夜だよな???馬に乗るのはこの娘か??
「連れの人は??」
「私一人なんですがなにか…?」
女性一人!?しかもまだ大人年にもなっていないような娘が…???
突拍子もない発言に彼はたじたじだった。
「う、馬はとりあえず宝石がないと買えないよ?
ネシリア王国に行くには4日ぐらいかかるから、食料は買ったかい?
あと、女の子が一人で夜に行くには危なすぎる。最近クタベラーが多いからね」
事務的口調での説明はとてもわかりやすかったが、聞いたことのない単語も混ざっていた。
「クタベラー…ですか?」
クタベラーを知らない!?
本当は呆れてモノもいえないといいたいところだったが、仕事柄それはできない。
「クタベラーっていうのは、変換者と手を結んだ人間の集団のことだよ」
「え?」
パニッシュは驚いた。
人間は全て変換者を憎んでいると思っていたからだ。
「たいていは、盗賊とか殺し屋とか様々さ。具体的な一つの軍団ではなくて、まとまりがないから対処しにくいのが現状でね。おまけに変換者とつるんでいるからこれがまた厄介なんだ。」
盗賊…。
昨日の盗賊はクタベラーだったのかしら。
人間と返還社が手を結ぶなんて…。
でもあの変換者とは仲間じゃないみたいだし…。
そういえば、昨日の盗賊はあのあとどうなったのかしら。
「大丈夫ですか?顔色があまりよくないようですが…」
「え?大丈夫です。
あの、宝石なんですが…」
バラバラバラ
昨夜盗賊に渡した余りはそんなに残っていなかった。
「これだけあれば足りますか??」
「…!!!!た、足りるもなにもこれだけあったら馬が10頭以上買えますよ」
それを聞くと、パニッシュはにっこり笑った。
その笑顔は、まるで天使のようにかわいらしい。
「ありがとう」
そういって、パニッシュはでていった。
「い、いったいあの娘は何者だ…?」